すべての疲労は脳が原因 (集英社新書 829I) 梶本修身を読了。書評と著書で紹介されているイミダペプチドの疑問について書いていきます。
現代の疲労は肉体的な疲労よりも脳の疲労、とりわけ自律神経の疲れであると書かれています。「脳疲労」の定量的な計測と原因、回復させるための疲労回復成分「イミダペプチド」について書かれています。それと、「イミダペプチド」について調べたところ疑問点が浮かび上がったのでそれについて書いています。
すべての疲労は脳が原因とイミダペプチド
疲労の原因
この本を読むまでは疲労は肉体が疲れている事を疲労と思っていました。
そのため、疲労を解消するためには、エナジードリンクや栄養ドリンク、ニンニク料理など、栄養のある飲食で解消すると思っていました。
しかし、疲労の原因は「細胞のサビ」と書かれていました。大多数の健康な人は、エネルギーの枯渇ではなく細胞の「酸化ストレス」が疲労に大きく関わっていると書かれています。
また、身体が疲れたと感じた時に、脳の自律神経の中枢(視床下部と前帯状回)に脳疲労が溜まると書かれています。
脳疲労の最初のサインは「飽きた」から始まります。
「飽きた」感覚は、脳そのものが疲弊してきているという警告です。特定の作業を続けていると、特定の神経回路を繰り返し使われます。
すると「酸化ストレス」が発生し脳が疲弊してきます。その疲弊を人間は「飽きた」と感じます。
「抗疲労プロジェクト」の実験などで、激しい運動に起こる疲れは、運動で酷使しているはずの筋肉そのももの疲労ではなく、多くは脳疲労であること、その脳疲労は自律神経の疲労に起因していることが判明しています。p.p.40
脳疲労のサインは「飽きる」「疲れる」「眠くなる」の3つです。
これらのサインを無視しして作業を続けると、「視界が狭くなる」という症状が現れます。
脳疲労がたまると、脳が視覚情報を意図的に狭くし、視界からの情報量をコントロールして疲労を軽減しようとします。脳のパフォーマンスを高めるには、飽きたらそれ以上集中せずに、席を立ち休憩し、別の作業をするほうが効率的です。す。
疲労の原因物質
これまでTVなどで疲労の原因物質は「乳酸」と言われてきましたが、現在医学では否定されています。「乳酸が溜まった筋肉ではパフォーマンスは低下するものの、乳酸がパフォーマンスの低下をもたらすという証拠にはならない」と結論づけられています。
疲労の原因物質は「活性酸素」です。「活性酸素」は老化や生活習慣病、シミ・シワ、白内障などの原因になることが分かっています。
しかし、「活性酸素」の酸化作用は体内で有効に活用されています。また、活性酸素を抑え込む「抗酸化酵素」があり、体内ではそれらの2つでバランスを保っています。
激しい運動をすると「活性酸素」が活発になり、紫外線を浴びても「活性酸素」が増え、その結果、疲労が蓄積してきます。
疲労因子FF
はげしい運動や紫外線などで活性酸素が増えると「疲労」の原因になりますが、活性酸素が直接「疲労感」を与えるわけではありません。
疲労感をもたらすのは疲労因子の「ファクティーグ・ファクター」です。
著書では「疲労因子FF」と呼ばれています。「疲労因子FF」は特定のたんぱく質ではなく、機能性を持つたんぱく質の総称です。
活性酸素が増加し、細胞を攻撃すると、血中の疲労因子FFが増大します。
疲労回復因子FR
疲労因子FFに対抗するために、疲労の回復を促す物資である疲労回復因子「ファティーグ・リカバーファクター」というたんぱく質が現れます。本書では「疲労回復因子FR」と呼ばれています。
活性酸素を無力化するために抗酸化酵素があるように、疲労因子に対しても疲労回復因子があります。
体に疲労因子FFが発生した状態の、疲れつつあるときに、(疲労回復因子が)発生するため、疲れないようにあらかじめ発生して疲労を予防するようには動きません。p.p.80
このように、疲労因子FFが発生してから、後から疲労回復因子FRは発生します。
これは、日ごろ運動や仕事をしていない人が、急に運動や仕事をすると、疲労因子FFの増加に疲労回復因子FRが対応できず、疲労感が溜まり、健康上の危険がある可能性を示しています。
疲労回復成分「イミダペプチド」
著書では回復成分を調べるために、「抗疲労プロジェクト」で実験が行われました。
そこで23種類の成分、ビタミンC、クエン酸、コエンザイムQ10、カルニチン、カフェインなどを測定しました。
そのなかで、効果的なエビデンスが得られたのは「イミダゾールペプチド」(以下、イミダペプチド)という成分です。
イミダペプチドは鳥の胸肉に含まれています。
渡り鳥やマグロやカツオなどの回遊魚などに含まれています。動き続ける必要のある筋肉に抗疲労成分であるイミダペプチドが多く含まれています。
イミダペプチドは持続的に抗酸化作用が働く。
抗酸化作用はポリフェノールなどにも含まれます、なぜ、イミダペプチドが良いとされるのかは、持続時間に違いがあるためです。ポリフェノールは一時的に抗酸化作用はありますが、イミダペプチドは持続的に抗酸化作用が働きます。。
イミダペプチドは鳥の胸肉100gで効果的に摂取できる。
本書では1日に200mgのイミダペプチドを摂取するのが良いとされています、鳥の胸肉を100g食べることで1日に摂取すべき200mgのイミダペプチドを摂取できます。コンビニのサラダ用に加工された鳥の胸肉が販売されています。
イミダペプチドは過熱に強くて安定的な為、鳥の胸肉を蒸したり、ゆでたり、焼いたり、好みの方法で食べることが出来ます。ただし、直火で長時間あぶると成分が変化する可能性があり、グリル調理は避けたほうが良いです。
イミダペプチドの疑問点
本書ではサプリを選ぶ際に、「イミダペプチド確証マーク」がある製品を選ぶのがよいと書かれています。このマークの製品は1日200mgの必要量が入っていることを保証します。
実際にネットで検索したところ、確証マークの入った製品はいくつか見つかりますが、1,2社の特定の企業のみが採用していました。
また、イミダペプチドをwikiで調べると記述はありますが、英語wikiには書かれていません。有益な効果があれば、サプリメント大国のアメリカですでに商品化されているはずです。イミダペプチドは英語wikiにも書かれておらず、アメリカ製サプリも見つかりませんでした。
イミダゾールジペプチド (英:Imidazole dipeptide) は、イミダゾール基を含むアミノ酸が結合したペプチドの総称で、おもにカルノシン(β-alanyl-L-histidine)とアンセリン(β-alanyl-3-methyl-L-histidine)、バレニン(Nα-β-Alanyl-1-methyl-L-histidine)がある[1]。別名、イミダペプチド、イミダゾールペプチドとも。 日本語wikiより
イミダペプチドを日本語wikiで調べました。キーワードはカルノシン、アンセリン、バレニンです。それぞれのページを調べたところ、「カルノシン」の項目が一番充実していました。また、英語wikiにも記載がありました。
サプリメントを調べてみると、カルノシンはアメリカで販売されていることを発見しました。
カルノシンとは
カルノシンをキーワードに調べていくと、東海物産という会社が見つかりました。ここはイミダペプチドの商品を作成しています。
東海物産ではイミダゾールジペプチド(アンセリン・カルノシン)を鶏から抽出する技術を完成させました。HPより
イミダゾールジペプチドを扱ったイミダゾールペプチド研究部には下記のように、カルノシンが含まれていることが確認できます。
イミダゾールジペプチドのアンセリン・カルノシンは、β-アラニンとL-ヒスチジンが結合してできたジペプチド(アミノ酸)です。
イミダゾールジペプチド(アンセリン・カルノシン)は私たちの筋肉の中で作り出される物質で、活性酸素を抑える力を持っています。HPより
上記のことから、イミダゾールペプチドだけでなく、カルノイシンでも同様の効果が得られると判断しました。
L-カルノシンの購入
Amazonやebayなどで探しましたが、ebayで個人輸入をするよりも、日本Amazonで購入するほうが安いことがわかり、AmazonからLカルノシンを購入しました。
注文しても、海外直送品のため、時間がかなりかかります。到着後、レビューをしてみたいと思います。
「L-Carnosine(L-カルノシン)の購入と感想」を記事に書きました。